術前と同じ食生活で過ごすと何が起こるの?

 

胃袋は、食べた物を一時的に溜めておく場所です。胃がんの術後は、この胃袋が小さくなる、もしくは全て無くなってしまいます。

 

今までと同様のスピードで食事をしますと、胃に食べた物を溜めておくことができないので、腸へ急速に運ばれてしまいます。これにより、ダンピング症候群が生じます。

ダンピング症候群には2種類あります。早期ダンピング症候群と後期ダンピング症候群です。

 

早期ダンピング症候群では、食後20〜30分後に起こります。症状としまして、吐き気、嘔吐、腹痛、動機、めまいなどが生じます。

急速に小腸に運ばれることにより、小腸の粘膜が刺激されます。また、小腸内が高浸透圧となり、腸の外から水を引っ張り上げる物理的な力が作用し、体内を流れる血液量が減り

 

ます。これらが生じるため、上記の症状がみられるようになります。

 

なお、1〜2時間程度、横になるなど安静にすることで症状は和らいできます。

 

早期に比べて、後期ダンピング症候群とは、食後2〜3時間後に起こります。どのようにして起こるのか説明してみましょう。

 

食べ物は、胃から小腸へ運ばれます。小腸は消化・吸収の90%を行う部分です。食べ物が急速なスピードで、小腸へ運ばれると、勢いよく糖を吸収しようとします。

 

すると、血糖(血液中の糖)が高くなり、一時的に高血糖の状態となります。体は高血糖に反応し、血糖を下げようとインスリンというホルモンは分泌しますが、必要以上にイン

 

スリンが分泌されるため、反対に低血糖の状態に陥ってしまいます。低血糖の状態になることで、動悸、発汗、頭痛などが生じます。この状態を改善するには、血糖値を上げるこ

 

とが必要です。飴や氷菓子を間食することで、血糖が上がるため徐々に回復に繋がります。

 

このような、ダンピング症候群を予防するためには、1回の食事に時間をかけることが大切です。よく噛むことで、唾液が分泌され、食べ物と混ざり合います。口内で食べ物を柔

 

らかくして、腸への負担が軽減できます。

 

また、水分摂取をなるべく控えましょう。水分補給をすることで、食べ物と過剰な水分が急速に腸に運ばれることで、ダンピング症候群が起きてしまいます。

 

 

消化に優しい食事とは

 

術後は、今までと同じ量を摂取することは難しくなり、術前と同じ食事量ではダンピング症候群が生じてしまいます。では、どのような食事を摂取すれば良いのか、ここ

 

ではご紹介します。

 

胃に優しいものと言えば、もちろん消化に良いものと思うでしょう。食べ物を選ぶだけではなく、食材の柔らかさも検討する必要があります。

 

例えば、食材を柔らかく煮る、ペースト状、つぶす、おろす、きざみ食にするなどの工夫を行うことです。

また、胸やけ、呑酸(どんさん)(酸っぱい液体が口まで上がりゲップがでる)などの逆流性食道炎の予防を行うため、油脂類を控える必要もあります。味付けは薄味にし、塩分など

 

の刺激物は控えるようにしましょう。

 

 

 

後期ダンピング症候群を発症した際には、血糖を上げるために間食が必要と紹介しましたが、日本臨床外科学会で紹介されている簡単にできる間食料理を紹介します。

 

コンフレーク粥:コンフレークと牛乳に少量の砂糖を加え、コンフレークが柔らかくなるまで煮ます。

 

クラッカー:市販のソーダクラッカーにクリームチーズやジャムを乗せます。

 

ミニおにぎりや、ホットケーキと紅茶、カスタードプリンも推奨しています。

 

気をつけるべき食べ物

 

消化に優しい食事について紹介しましたが、ここでは気をつけるべき食事について紹介します。

 

消化されにくい食べ物として、食物繊維の多い食べ物(海藻、こんにゃくなど)、ラーメンやお餅などが挙げられます。術後1年経過し、身体面に問題がなければ徐々に摂

 

取していきましょう。一気に摂取することで、ダンピング症候群を引き起こす可能性が高まります。

 

また、胃を刺激しないよう、香辛料、炭酸飲料、アルコール、カフェイン、熱すぎる、冷たすぎるものには気をつけていく必要があります。

 

 

まとめ

 

胃がんの手術後は、食事療法が中心となります。

 

ダンピング症候群を引き起こしやすいため、食事量、食事回数に気をつけ、時間をかけてゆっくりと食べる必要があります。

 

また、消化に優しいもの、刺激物を避けて、食事摂取することもポイントです。

 

食事療法では、食事の制限が多く、ストレスが溜まることもあるでしょう。私も、このような食事制限があると食事が楽しくないです。

 

そのため、食事を楽しめるためのメニューを考えるなどの工夫をする必要がありますね。楽しみながら食事をすることは、術後の経過も良好になるでしょう。